太陽光をプリズムにあてると分光して虹色が見える。ステンレスの絵の具も光であり、化学発色液に浸している時間によって透明な酸化膜の厚みが変わり、無数の色(光の干渉色)が現れる。ステンレス板をレインボー発色して虹色にそめたアート作品にすれば見る人の想像力を掻き立てることが出来るのではないか。坂上氏は1982年からレインボー発色を作品に取り入れ始め、大型のモニュメント作品を制作しました。
1993年羽田空港西旅客ターミナル1階到着ロビーに設置した1対のモニュメント。大きな夢を抱き、天空にかかる虹に向かって飛び立った青い翼が虹に染まって戻ってくるストーリーで南ウィングに「虹にむかって」、北ウィングに「虹にそまって」を設置し、250m離れた2つの待ち合わせ場所を虹の架け橋でつなぎました。
「虹にむかって」はパンチング加工したエンボスステンレス板をスパッタリング法にてノイエス/ミスティブルー色をつけ、これを2枚合わせてモアレ現象を創出して爽やかなブルーの翼を制作しました。
「虹にそまって」はパンチング加工したエンボスステンレス板をレインボー発色し、これを2枚合わせてモアレ現象を創出して虹にそまり空に舞う翼を表現しました。
この1対の翼は多くの渡航客を出迎えていましたが、ターミナルの改装に伴いその役割を終え、2019年に坂上氏の母校である玉川学園に移設され、現在、「University Concert Hall 2016」ホワイエに「虹にむかって」、「STREAM Hall 2019」吹き抜けに「虹にそまって」が設置されています。
作品 | モニュメント 「虹にむかって」、「虹にそまって」 |
設置場所 | 羽田空港西旅客ターミナル1階到着ロビー(2019年玉川大学に移設) |
アーティスト | 坂上直哉 |
竣工年 | 1993年 |
製造工程 |
「虹にむかって」 SUS304スターライトエンボス+パンチング+ノイエス/ブルー 「虹にそまって」 SUS304スターライトエンボス+パンチング+ファインカラー/レインボー発色 |
NIPPON STEEL Stainless Steel
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